世界は、日本はどうなる?気候変動の影響
近頃、気温の上昇や大雨の頻度増加など、気候変動による影響かも?という事象が世界各地で起こっています。今回は、気候変動がもたらす影響や今後の予測などについて、できるだけ簡単にまとめてみました。
気候変動とは
「気候変動」とは、 気温や降水量、気象パターンなどが比較的短期間の中で変化することを示す用語です。気象学では、中長期的な変化の現象は「気候変化」と呼ばれ、区別されています。ただ近年では、2つの用語を混ぜて使うケースも見られます。
気温や気象パターンの変化は、 自然現象によるものと、 人為的な原因によるものがあります。自然現象はたとえば、太陽の活動、地球の公転軌道の変化、火山の噴火といったもの。また人為的なものとしては、石油や石炭など化石燃料を燃やすことで温室効果ガスが発生し、気温が上昇すること(地球温暖化)があります。また、広範囲の森林伐採や、大気汚染物質の排出なども人為的な原因になります。このように気候変動は環境問題とからめて、地球温暖化の問題と合わせて用いられることが多くあります。
気候変動の影響 <世界編>
現在の地球は、 観測史上もっとも気温が高い時期にあると言われています。1800年代後半と比較すると、約1.1℃温暖化が進んでいるというデータも見られます。
気候変動は気温の上昇だけにとどまらず、 様々な影響を及ぼすことが予測されています。特に、世界的な水不足、干ばつ、海面上昇、大規模な火災、巨大な暴風雨などが挙げられ、それらが生物の生態系にも及ぶことが懸念されています。
<世界の気候変動の影響例> ・気温の上昇
2011~2020年の10年間は観測史上もっとも暑い時期となっています。ほぼすべての陸地で熱波や猛暑日が増加しています。 ・北極圏の氷の減少 北極圏の気温は地球の平均のほぼ2倍のペースで上昇。北極の海氷面積はここ30年以上にわたり減少し続けています。 ・嵐の勢力拡大・発生増加 気温上昇で蒸発する水分が増し、各地で一層激しい嵐や洪水を引き起こしています。台風(ハリケーン)の勢力も増大しています。 ・生物の種の減少 気候変動による森林火災や異常気象、害虫・病気の発生で、一説によると100万種の生物が絶滅の危機に瀕していると言われています。 ・食料不足 熱波による水不足や牧草地の減少、海水温上昇で漁獲量減少など、農業・漁業・牧畜業すべてに影響が及ぶ可能性があります。 |
気候変動の影響 <日本編>
気になる日本への影響の度合いについて、「日本の気候変動2020」という報告書を、文部科学省・気象庁が発行しています。報告書では、日本においても様々な気候変動の影響があるとレポートされています。
<日本の気候変動の影響例> ・日本の平均気温上昇は世界平均より速く進行
平均気温の上昇と共に、極端な高温の頻度も増しています。真夏日、猛暑日、熱帯夜の増加、そして冬日の日数が減少しています。 ・大雨や短時間強雨の発生頻度が増加 雨の降り方が極端になり、大雨・短期間強雨の発生が増える一方、雨の降る日数は減少。年間降水量はあまり変化はないとのこと。 ・積雪や大雪は減少傾向 日本海側の各地域で積雪に減少傾向が見られる。1日20センチ以上の降雪日数も減少。但しまれに降る大雪のリスクはあるとのこと。 ・台風の発生数、日本への接近・上陸数、強度は変化なし 台風発生や上陸数などの長期的変化傾向は見られません。ただ、日本付近の台風は最大強度となる緯度が北に移動しているとのこと。 また、「日本の南海上で猛烈な台風の存在頻度が増す」という予測もあります。 出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020̶大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書」 |
気候変動の問題は広く深い
気候変動による影響を抑えたり、あるいは先延ばしにしたりするために、世界的規模で様々な取り組みが行われています。温室効果ガス排出を抑制する策として、 再生可能エネルギー利用を推進すること。今ある二酸化炭素の環境負荷をゼロ以下にする、そのための変換技術を開発すること、などです。
私たちとしては、その取り組みを見守るしかありません。ただ、大切なのは「知る」ことでもあります。気候変動がもたらす影響、様々な問題について、少しずつでも情報にふれ、意識しておくことが、未来への一助になる可能性はあると思います。